Column

コラム

コラム

2022.07.29

明石市が発表した未払養育費立替え事業の拡充について

明石市が発表した未払養育費立替え事業の拡充について


令和4年7月28日の報道によれば、兵庫県明石市は、コロナ禍での緊急支援事業として令和2年7月から期間限定で行っていた未払養育費の立替え事業を、令和4年8月から内容を拡充して再開するようです。

※令和4年8月1日から、明石市のホームページに「こどもの養育費立替支援事業」として情報が公開されているようですので、詳しくは市のホームページをご参照ください【令和4年8月29日追記】



発表された制度の概要

本日現在、報道で確認できた限りの内容では、申込みのあった事案に関し、相手方が養育費を支払わない場合、明石市が申込者に未払分を立て替えて支払い、後に明石市が相手方から回収するという制度で、従前は立替分を1か月分に限るとしていたものを、「3か月分」に内容を拡充する、とのことです。

制度の対象は、市内に子どもが住んでいて、前の月に養育費を受け取ることができていない人であるとのことですが、おそらく、適用条件が前回の緊急支援事業と同じということであれば、こどもの住民票上の住所が明石市であること、養育費について調停調書や公正証書などの公的な取り決めをしている、前月分の養育費を受け取れていないというものになると思われます(詳細は明石市のホームページ等をご確認ください。)

申込みは令和4年8月から令和5年3月末までということですので、継続的な事業として今後も存続する制度であるのかはまだ明らかではないです。

この度の報道によれば、市からは、以上に加え、養育費を支払わない相手方の給与等を個人で差し押さえるのに必要な費用を最大で5万円分補助するという発表もあったそうです。

既に存在する、養育費取り決めサポート事業における調停調書や公正証書の作成費用の全額補助の支援策(適用条件や限度額等の詳細については明石市に問い合わせください。)を併せて活用すれば、きちんと養育費を回収したいと考える方のための一つの支えになるものと思われます。


注意したいこと

このように未払養育費に関して明石市はいくつかのサポートを提供してくれていますが、そのサポートをきちんと意味のあるものとして活用していくには、養育費を請求する側の権利者個人が必要な対応をとることが前提となっています。

その最たるものは、夫婦間で養育費に関する取り決めをきちんと行い、それを単なる覚書のようなもので残しておくのではなく、執行力のある債務名義(調停調書や公正証書など)の形で残しておくことです。

執行力のある債務名義がなければ、上記のサポートは受けられません

厚生労働省が実施した「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」という資料によれば、養育費の取り決めをしていないと回答した母子世帯の母の割合は、全体の54.2%(総数1817中の985)にのぼり、養育費の取り決めを、執行力のある債務名義の形で書面で取り決めていると回答した割合は、全体の25.0%(総数1817中の455)にとどまっているとのことです。

これは過去の統計資料ですが、多くの方が養育費についてきちんとした取り決めができていないという数字を見ると、離婚問題に多く携わる弁護士としては考えてしまうところがあります。


執行力のある債務名義獲得の必要性については、本コラム内の記事「「養育費を確実に回収したい」と思ったら」も併せてご参照ください。

最後に

今現在、養育費の話し合いをしているけれど、執行力のある債務名義の形で養育費の取り決めをすることが難しい状況にある方又は難しいだろうなと考えていらっしゃる方は多くいると思いますが、きちんとした形で養育費の取り決めを行うことについては、多くの場合で弁護士が力になることができます。

あかし興起法律事務所の弁護士渡邉友は、養育費の取り決めに関する交渉、調停・審判の多くの案件に携わってきました。
養育費の取り決めのことで悩み、前に進めない状態になっている方は、ぜひ一度、あかし興起法律事務所にご相談ください。

Access

アクセス
あかし興起法律事務所
〒673-0898 兵庫県明石市樽屋町8番34号第5池内ビル5階
TEL:078-945-5460 FAX:078-945-5461
上へ