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2022.08.14

女性が離婚を考えるときにまず検討すべきこと



配偶者との離婚を考えたとき、「自分はまず何をすべきかなのか。」「決めることが多すぎて何から始めていけばいいかわからない。」という悩みを抱かれる方は多いと思います。
本コラムでは、特に女性側が離婚を考えるときにまず検討すべきことを取り上げたいと思います(場合によっては、稼働収入が少ない男性の場合にも妥当する検討課題かもしれませんので参照ください。)。


経済的自立をどう実現するかが第一



一般に、離婚の際に取り決めるべき事柄としては以下の点が多いかと思います。

  • 親権・監護権
  • 面会交流
  • 養育費
  • 財産分与
  • 慰謝料
  • 年金分割
  • 婚姻費用(離婚までの生活費)


多くの方々は、これらの点のうちご自身に関係するものを取り決めようと考え、ウェブサイトの記載内容や弁護士の法律相談等により知識を身に着け、ご自身の場合に当てはめて検討を加えつつ、ご夫婦での離婚の話し合いを進めていこうとされるのではないかと思います。

離婚の話し合いをする中で条件面の協議は、通常、後にも先にも絶対にすることなのでそれ自体は何も間違っていません。


しかしながら、特に、女性の側は、稼働収入が多い方を除き、離婚によりその経済状況が変わってくる方が多いのではないかと思います。

そのような方の場合、離婚を考えるに際してまず検討すべきことは、別居後や離婚後にいかにして経済的自立を実現するかという点と考えます。

同居しながら夫と離婚の協議を進めることができる方の場合にはそこまで問題にならないかもしれませんが、DVやモラハラその他の事情により夫と同居しながら離婚の協議を進めることが難しい方の場合には、別居及び別居後の生活のことを考えていかなければなりません。

その際に、ご実家など一時的に身を寄せる先があれば違いはあろうと思いますが、転居費用や転居後の住居費は馬鹿になりません
特に、同居しながら離婚の協議を進めることができない方の場合には、そもそも夫との話し合いが簡単でない方も多いと思いますので、離婚成立までの期間が長期化することも考える必要があります。

婚姻費用をもらえるから大丈夫?

確かに、妻は、法律上、離婚成立までの間、夫に対して生活費として婚姻費用の支払いを求めることができます。
そのことから、依頼者の経済的基盤を整えていくため、弁護士は多くの離婚事件で婚姻費用の獲得に尽力しています。

しかし、夫から婚姻費用の支払いを受けられても、人によっては同居期間中と同様の生活費を手に入れられないという方もいます
また、夫の対応次第では調停・審判を挟む必要があるなど、婚姻費用の支払いを受けるまでに時間がかかる場合もあります

したがって、別居直後はまだしも別居後ある程度してからは、離婚後の長い生活のことを考え、生活の基盤を対立する夫からの経済的支援に頼るというスタイルからは徐々に脱していくよう検討してべきですし、これから離婚を考えるという方であれば、可能であれば、夫からの経済的支援をオプションとしてとらえ、ご自身の稼働収入等を軸に別居後の経済的基盤を整えていくことも検討されるべきと思います。

十分な条件の交渉ができないおそれもあり得る



ただ、それぞれの方の置かれた状況は違いますので、やむを得ず、経済的自立の問題を十分に考えられないまま別居に突入するという方も多くいらっしゃると思います。

その場合も、徐々に夫の経済的支援に頼る形から脱して、ご自身の稼働収入等で経済的基盤を作っていけるようご自身の視点・考え方を少しずつシフトして対応していくとよいと思います。

このような場合に、「こどものことを考えれば、相手方はもっと婚姻費用(養育費)を支払うべきだ。」「財産分与において、相手方は、離婚後の生活の補償として最低でも●●円を支払うべきだ。」という離婚に伴う条件面の話で生活の経済面をカバーしようとするのはできれば避けた方がいいでしょう。

もちろん、そのような条件面の主張が法的に相当であればその主張を控える必要はありません。

しかし、経済的な生活基盤が存在するかというのは言わば「兵糧(ひょうろう)」ですから、兵糧が少なくなってくれば武将が戦で本領を発揮できないのと一緒で、経済的基盤がぜい弱な場合には離婚における交渉でも難しい局面が待ち受けます。

具体的には、離婚の紛争が長期化する一方、生活費が厳しいという事情の中で、「離婚できれば児童扶養手当が得られるから…」、「離婚できれば子供の保育料が下がるから…」などと、離婚後の生活支援策を得るために、争点となっている条件面に関し、本来であれば法的に相当である主張を泣く泣くあきらめて離婚の結論を得るというような場面が想定されます。

まとめ



今回は、特に、稼働収入が少ない一方配偶者(主に女性側)の視点から、離婚を考える際には、まず離婚の条件面の検討に先立って経済的自立をどう実現するかを検討すべきということを説明しました。

経済的自立の検討と言っても、市営・県営住宅への移転等の住居の選定、今よりも条件の良い仕事への就職、親族からの援助や公的な扶助(児童扶養手当、お子様の就学援助、母子父子寡婦福祉資金(生活資金等の借入れ)、税の免除)の検討など多岐に及び、悩む方も多いかと思います。
あかし興起法律事務所の離婚に関する法律相談においては、離婚後の経済的自立をどう実現するかということのご相談にも応じますのでお気軽にご相談ください。
なお、公的扶助に関しては、離婚後でなければ受給できないものもあれば、就学援助などは事情により離婚前の別居段階でも受給できるものもあるようですので、お住いの市町村に詳細をお問い合わせ下さい。

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