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2024.03.11

【解決事例】訪問販売業者との契約締結から5か月以上が経過していたものの、クーリングオフにより契約を解除し、業者に無償で原状回復措置を実施させることができた解決事例

依頼された方

・20歳代
・女性

相談までの経緯

相談者は、自宅に往訪してきた業者の営業文句に乗せられ、戸外設置型の浄水器1台の売買契約を締結しましたが、商品に関する業者の説明内容とメーカーの説明内容に食い違いがあったり、その後行われた設置工事の際に、業者が、当初説明した設置場所に浄水器を設置できないなどと言い出し、最終的に相談者の希望を聞くことをせずに一方的に場所を決めて設置工事を完了させたりしたことから、業者に不信感を持ちました。

当該契約においては、売買契約締結後に浄水器の設置工事が先に行われ、代金決済については金融機関でのローンが組まれる予定でしたが、以上の経緯から相談者が金融機関に相談した結果、審査が途中でキャンセルになりました。

そのことから、相談者は、業者に対してクーリングオフによる契約解除を求めましたが、その時点で既に契約締結から1か月以上が経っており、業者は、クーリングオフ期間が経過しているの一点張りで解約申入れに応じず、浄水器設置工事代金等の支払を求めてきました

相談者は、消費者相談センターに相談に行き、担当者に業者との対応に当たってもらうなどしましたが、業者の態度は変わらず時間だけが過ぎていくという状況が続きました。
その中で、相談者は、今後の対応をどうすればよいか不安になり、法的な見地からのアドバイスを求め当事務所へご相談来られました。

相談後、当事務所弁護士が対応した結果

弁護士渡邉が相談者と業者との契約内容を確認したところ、今回の浄水器の売買契約において、業者は特定商取引に関する法律上の「訪問販売業者」に該当するところ、業者が売買契約の際に実際に消費者に交付した契約書面は、同法が要求する内容を具備したものではありませんでした。

具体的には、売買契約締結後に実施される工事に関して工事場所や内容を具体的に特定する記載が必要なところそれらに関するがなく、商品代金支払の方法についても、代金支払時期、分割払いによる場合の各分割金の支払時期や回数、各回の分割金額を具体的に特定する記載がないなどの不備が複数ありました。

特商法は、消費者の保護のため、訪問販売業者に対して契約締結時に消費者に交付すべき契約書面の記載内容を細かく法定しており、契約書面の記載内容に不備がある場合には、法定の記載事項を記載した契約書面を改めて交付しない限りクーリングオフの期間を進行させない扱いとなっています。

そのことから、弁護士は、法定の記載事項を具備した契約書面の交付がなされていない以上、クーリングオフの権利行使期間は経過していない旨を主張し、契約の解除及びそれに基づく原状回復措置として、業者の費用負担で浄水器の撤去、設置場所の原状回復をするよう求め、業者との交渉を続けました。

そうしたところ、早期の段階で業者がこちらの要望をすべて受け入れ、終わってみれば、ご契約から1か月半程度で依頼者の求める結果を実現することができました。


弁護士からのコメント

訪問販売業者が往訪してきた際に落ち着いた判断ができないまま契約を締結してしまうという例は社会的にも多く存在します。
その場合に、契約者自身の判断で、速やかにクーリングオフについての権利主張ができれば問題は比較的少なく済みますが、様々な事情が絡んで判断が遅れ、解約申入れをしたいと思ったときには、形式上、既にクーリングオフの権利行使期間が経過してしまっているということも少なくありません。
そのような状況においても、今回のように、業者が法定書面の交付に関する規制を順守していない場合には、クーリングオフによる契約解除の主張をもって対抗し得る場合があります。

今回の事案では、契約締結から解約申入れまでは5か月以上の期間が経過していましたが、こちらの主張が業者に効果的に響き、ご依頼を受けてから1か月程度で、契約の解除のみならず業者の費用負担での原状回復措置の実施までさせ、ご依頼者様に期待通りの結果を提供することができました

消費者問題でお悩みの方がいらっしゃいましたら、解決の糸口をご一緒に探るべく、あかし興起法律事務所までご相談ください。

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