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2022.12.21

面会交流の取り決めをする際に考えなければならないこと

はじめに

面会交流に関してご相談を受ける際、お子さんと同居していない親の立場の方からは

    自分も親権者なのだから、会おうと思ったときに子供に会えないのはおかしいのではないか

などというご質問を受けることがよくあります。

他方、お子さんと同居している親の立場の方からは

    子供が嫌がっている(怖がっている)ので、相手を子供に会わせないようにしたい

などというご質問を受けることもよくあります。

どちらのご質問も、その方のお子様を思う気持ちから出ているものであろうと思いますから、頭ごなしに非難はできません。

また、夫婦の話し合いで面会交流を上記の要望通りに取り決めることができるのであれば実際上は大きな問題は生じてこないと思われます。

しかし、夫婦双方の意見が対立し、面会交流についてのそれぞれの意見が真っ向から対立するような場合には、法的な観点から取り決めを行う必要があります。

そして、そのような場合には、上記のご質問をされる方のご意見・ご要望をその通りに実現するのは難しいというのが現実です。


面会交流の法的性質は、「子供の監護養育のために適正な措置を求める権利」

そもそも、別居によって非同居親となった方がお子様との面会交流を求めることは、法的にはどのようなものなのでしょうか。

特に非同居親の立場からの自然な感覚としては、面会交流は「非同居親が他方に対して子供と面会交流させるよう求める権利」だと考えたくなると思います。

しかし、実務上は、面会交流は、そのような権利ではなく、「子供の監護養育のために適正な措置を求める権利」だと捉えられています。

したがって、面会交流をめぐる法的な紛争においては、子供の利益を図るためにどのようなやり方が適切かという観点から取り組んでいく必要があります

ですから、例えば、面会交流をめぐって裁判所で調停・審判となっている場合に、「面会交流をこうしたい!」という思いが強すぎ、お子様の利益が十分に考えられていないと評価されてしまうような主張を繰り返していると、最終的に審判を下すことになる裁判官と議論がかみ合わず、思わぬ審判が下るという結果にもなりかねません。


お子様のことを第一に考える

離婚の話し合いをしているときは、特に夫婦の感情が激しく対立しているということが多いので、なかなか難しいこととは思いますが、面会交流が紛争になっている場合には、ご自身の主張を、「子供の利益になっている主張か?」「自分の希望を主張しているだけになっていないか?」という観点から見返していただくことが必要です。

お子様は、いかに幼くとも、親とは別の一人の人間です。
ですから、お子様が非同居親に対して真実どう思っているのか、どのような感情を持っているのかということを親の立場で正確に理解するのは、簡単なことではないと思います。


非同居親の立場の方が、ご自身としては、

   子供と私の関係は前から良好だった
   子供に会いたいときに会えないのはおかしい

と思っていても、両親の紛争の中に置かれたお子様としては、

   「お父さんとお母さんがケンカしている場面にかかわりたくない」
   「放っておいてほしい

と考え、面会交流の実施にかなり消極的な感情を抱いているかもしれません。

そのような場合には、お子様を離婚をめぐる紛争に巻き込まないよう面会交流の実施方法を考える必要がありますし、お子様が「会いたくない。」と言っているようならば、面会を実現するための大事な前提である「お子様との良い関係の構築」を、手紙のやり取り等を通して少しずつ時間をかけてしていくことを第一に検討されるべきかと思います。


一方、同居親の立場の方においても、ご自身では、

   子供は非同居親のことを嫌がっているから、面会をさせるのはかわいそう

などと思っていらっしゃっても、お子様としては相手方に対してそこまでの反対感情を持っていないのが真実ということもあり得ます。
また、お子様と非同居親との面会交流を絶ってしまうことが本当にお子様にとって良いことであるのかということも、慎重にお考えいただく必要があろうと思います。



いずれにしても、面会交流に関する法的紛争においては、お子様の利益を図るために適切な取り決めを行うこと、そのための意見の調整を図っていくことなどが必要です。

面会交流の実現や実施方法をめぐって相手方と折り合いがつかずお悩みをお抱えの方は、相手方との調整を図るべく弁護士を間に入れて話し合いを行うことも一つの解決策です。
その場合には、是非、離婚事件の対応に注力しているあかし興起法律事務所にご相談をいただければ幸いです。

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