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・60歳代
・男性
母親が遺言書を残さずに他界したため、相談者は、母親の遺産である複数の不動産と預金について共同相続人である相談者の兄弟2名と遺産分割協議を進める必要がありました。
ただ、相談者の兄弟は、相談者が長男であり、先に他界した父親の相続の際に相談者が跡継ぎとして多くの財産を取得した結果になったことに不満を持っており、母親の遺産分割に際して父親の遺産分割の結果を考慮に入れないで話を進めることに当初から難色を示し、話し合いにならない状況でした。
当事者同士で協議を進めても言い争いになるだけで精神的にも疲弊するだけであったことから、相談者は、弁護士に代理人として交渉を依頼すべく当事務所へご相談来られました。
弁護士渡邉は遺産分割の交渉代理の依頼を受け、早速、相手方である兄弟2名それぞれと複数回にわたり話し合いの機会を持ちました。
話し合いの当初は、確かに、依頼者と相手方ら2名との間の感情対立が根深く、話し合いは、毎回、必ずと言っていいほど平行線で終わりました。
このままでは折り合いが全くつかないので、遺産分割調停で話し合いを継続することも視野に入っていました。
しかし、遺産に含まれる不動産のうちの一部が、大規模な開発事業の対象地に含まれていたことから、同不動産については、母親の生前から売却交渉が続いており、当時、兄弟間の遺産分割交渉が整いさえすれば売却ができる状態に至っていました(むしろ、本件の遺産分割交渉がまとまらないことが開発事業の対象となっている複数の不動産全体の売却にストップをかけている原因となっていました。)。
話し合いを継続した中でわかってきたことは、共同相続人の三者とも、当該不動産の売却の機会については逸したくないという思いを強く持っていることでした。
そのことから、代理人渡邉は、依頼者だけでなく相手方2名に対しても、当該不動産の売却ができないことで生じる違約金負担のリスクなどのデメリットや売却の結果得られるメリットを具体的に説明して説得に当たり、当該不動産の売却代金を含む遺産全体について、それぞれがどのような配分で分ければ納得できるかを調整していきました。
その結果、三者間で妥当な落としどころの調整を遂げることができ、調停で議論して解決を迎えようとした場合最低でも1年程度はかかるであろう本件の遺産分割を、ご契約から5か月程度で合意成立まで導くことができました。
兄弟間での遺産分割が紛争になる原因にはいろいろなものがあるため、ここをうまくすれば解決につながるというポイントは簡単に見いだせないのが通常と思います。
ただ、基本的に、相続紛争は、経済的利益の分配が話の中心ですから、今回の事案のように「兄弟間の足並みがそろわないと遺産の土地の売却話がなくなり結果的に大損になるおそれがある」など、各人が同じ方向を向くきっかけになる事情がある場合には、まさに呉越同舟のかたちで、対立する兄弟の意見がまとまる場合があり得ます。
また、今回の事案の調整がうまくいったことの要因には、そのような事情があったことに加えて、弁護士が対立する三者それぞれから時間をかけて意見・考えを聴取し、各人それぞれの事情にも配慮して話の調整をしていったことも結論に大きく影響を与えたと思われます。
弁護士渡邉は、交渉の事案においては、感情の対立が激しい相手方であっても、感情を逆なでするようなことにならぬようできる限り冷静に相手方の言い分を聴取し、依頼者と相手方との調整の余地を模索していく対応を図ることを信条としています。
今回の事案では、そのような弁護士渡邉の立ち回りがうまく事案とかみ合い、一見すると合意成立に時間を要しそうな事案においても早期に妥当な結論に決着させることにつながったものと思われます。
この度の依頼者からも弁護士の対応にとても満足いただけました。